

飲食店って、なんでこんなに短期間でなくなるお店が多いの?

料理の腕や資金力だけじゃなく、最初の「立地選び」で勝負は8割決まってるよ。
「飲食店で独立したい」という夢を持つ人は多いです。
しかし現実は厳しく、開業から1年以内に4約割、3年以内に約5〜7割の飲食店が廃業しています。
なぜこれほど多くの店が短期間で消えていくのか。
料理の腕?マーケティング?資金力?
もちろんどれも大切ですが、最も根本的な原因として見落とされがちなのが「立地選び」です。
私は19歳から飲食業に入り、居酒屋を独立開業して18年目の現役店主です。
この記事では、飲食店の廃業率と出店立地の深い関係を、公式データをもとに整理します。
・飲食店の廃業率の実態と最新データ。
・立地選びが経営の命運を握る理由。
・駅前とロードサイドの特性と選び方。
・商圏分析なしで出店すると何が起きるか。
・18年店主が実践してきた立地判断の基準。
飲食店の廃業率の実態 2025年も過去最多を更新し続ける危機

まず現実のデータを確認します。
| 期間 | 廃業・閉店率の目安 |
|---|---|
| 1年以内 | 約30% |
| 3年以内 | 約50〜70% |
| 5年以内 | 約80% |
| 10年以上継続 | 3割未満 |
出典:飲食店の廃業率は?業態別データと失敗を避ける具体対策/マネーフォワード クラウド
帝国データバンクの調査(2025年)によると、2025年の飲食店倒産件数は900件となり、前年(894件)を上回って過去最多をさらに更新しました。
2年連続の過去最多更新です。
倒産の約77%が負債5,000万円未満の小規模倒産であり、個人経営・家族経営の小さな店舗が数字を押し上げています。
| 業態 | 倒産件数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 酒場・ビヤホール(居酒屋) | 204件 | 3年連続200件超 |
| 中華・東洋料理店(ラーメン含む) | 179件 | 過去最多・前年比+13% |
| 日本料理店 | 97件 | 過去最多・前年比+26% |
出典:帝国データバンク「飲食店の倒産動向(2025年)」2026年1月13日公表
特に日本料理店の増加が顕著で、団体客の減少・企業接待需要の縮小・節約志向の高まりが直撃しています。
居酒屋業態も3年連続で200件超えの高水準が続いています。

コロナが落ち着いたのに、なんで倒産がまだ増えてるの?

ゼロゼロ融資の返済が一巡した今は、コスト上昇分を価格に転嫁できない店が限界を迎えてるんだよ。
倒産した店舗の約77%が負債5,000万円未満の小規模倒産です。
大手チェーンはスケールメリットでコスト削減できる一方、個人経営・家族経営の店舗は食材費・光熱費・人件費の上昇に耐えきれず閉店に至るケースが大部分を占めています。
立地が廃業を左右する理由 家賃比率が経営の命運を握る
廃業の直接原因のトップは「資金ショート(運転資金の枯渇)」です。
しかしその背景には、初期投資の段階での立地ミスが潜んでいることが多いです。
特に問題になるのが「家賃比率」です。
家賃比率の適正ライン 売上の10%以内が鉄則
家賃比率の目安
理想:売上に対して7〜10%。
危険ライン:売上の30%を超えると廃業リスクが急激に上昇。
「家賃÷3=1日の最低売上目標」という指標があります。
家賃20万円の物件なら、1日あたり最低約7万円の売上が必要です。
月に換算すると約210万円。
これが達成できない立地に出店した瞬間、経営は始まる前から詰んでいます。
私の店は15坪・月家賃18万円でスタートしました。
当時の目標月商は180万円。この数字を先に決めてから物件を探したため、開業初年度から黒字を出すことができました。
立地ミスが生む負のスパイラル
家賃が高すぎる物件に入ると、どんな悪循環が起きるか。
売上が家賃を下回る → 運転資金を切り崩す → 仕入れや人件費を削る → 料理・サービスの質が落ちる → さらに客が減る → 廃業
この流れは一度始まると止めることが極めて難しいです。
立地の失敗は、料理の腕でも接客力でも挽回できない構造的な問題です。
駅前 vs ロードサイド 業態との相性で選ぶ

立地を選ぶとき「駅前か、ロードサイドか」という問いは多くの開業希望者が抱えます。
どちらが正解かは業態・客単価・ターゲット層によって異なります。
駅前立地の特性 高い家賃と引き換えに得られる集客力
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 徒歩集客が見込める | 家賃が高い |
| 認知されやすい | 競合が多い |
| 飲み会・ランチ需要あり | 駐車場が確保しにくい |
駅から徒歩5分以内(約400m圏内)が主な商圏です。
ただし「駅近だから安心」という思い込みが危険です。
駅近は家賃が高いため損益分岐点も高くなります。
売上が読めないうちに飛びつくと、資金ショートまでのスピードが速くなります。
ロードサイド立地の特性 広さと安さの代わりに問われる集客力
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 家賃が安い(駅前比) | 車がないと来店できない |
| 広い店舗が持てる | 認知に時間がかかる |
| 駐車場を確保しやすい | 月商800万円以上が必要なケースも |
ロードサイドは駐車場20台以上が基本です。
それだけの集客が見込めるか、事前の商圏調査が命になります。

どっちが向いてるかって、業態で変わってくるってこと?

ランチ主体のカフェなら駅前、ファミリー向け定食屋なら駐車場があるロードサイドの方が向いてる。業態とターゲット層を先に決めてから立地を探すのが正しい順番だよ。
業態別の立地相性早見表
| 業態 | 向いている立地 | 理由 |
|---|---|---|
| 居酒屋・バー | 駅前・駅近 | 帰宅途中の需要・徒歩集客が命 |
| ランチカフェ | 駅前・オフィス街 | 通勤客・昼休みの需要 |
| ファミリー定食屋 | ロードサイド・住宅街 | 駐車場必須・週末ファミリー需要 |
| 高単価レストラン | 住宅街・裏通り | 目的来店・家賃を抑えて利益率確保 |
| テイクアウト専門 | 駅前・商店街 | 通行量が直接売上に直結 |
商圏分析なしの出店はギャンブル 無料ツールで事前調査をする

商圏分析とは、自分の店からどのエリアのどんな人が来るかを事前に把握する作業です。
これをせずに「人通りが多そう」で物件を決めると、1年以内に廃業するリスクが跳ね上がります。
事前に調べるべき5つの情報
① 周辺人口・年齢層・世帯構成。
② 昼間人口と夜間人口の差。
③ 競合店舗の数・客層・価格帯。
④ 交通量・人の流れ(昼・夜・週末)。
⑤ 駅の1日あたり乗降客数。
無料で使える商圏調査ツール3選
| ツール | 調べられること |
|---|---|
| jSTAT MAP(政府統計) | 半径500m〜の人口・年齢構成・世帯数 |
| 各鉄道会社の公式サイト | 駅の1日あたり乗降客数(無料公開) |
| SUUMO・アットホーム | エリアの坪単価・家賃相場 |
特にjSTAT MAPは政府が無料で提供している商圏分析ツールです。
住所を入力するだけで周辺の人口構成・年齢層・世帯数が一覧で確認できます。
お金をかけなくても、ここまで調べてから物件を決めるだけで廃業リスクは大幅に下がります。
閉店しやすい立地の3つの共通点
データ分析から見えてきた「閉店しやすい立地の特徴」があります。
・駅から徒歩2分以内の物件(家賃が高すぎて損益分岐点が上がりすぎる)。
・オープンから2年以内の競合が密集するエリア(消耗戦になる)。
・ターゲット客層と周辺人口がミスマッチ(来るはずの客がいない)。
「駅から近すぎる」という落とし穴は意外に見落とされがちです。
駅徒歩1〜2分の物件は家賃が跳ね上がるケースが多く、同等の売上を得られる保証はありません。
18年店主が実践してきた立地判断の基準
私が世田谷区に15坪25席の居酒屋を出したのは18年前です。
当時、物件を探す際に自分に課したルールが3つありました。
立地を選ぶときの3つのルール
① 家賃は月商目標の10%以内に収まる物件だけを見る。
② 昼・夜・平日・休日の4パターンで現地調査をする。
③ 半径500m以内の競合店を全部入って食べてから判断する。
特に③は時間もお金もかかりますが、競合の強さと自分の差別化ポイントを把握するうえで欠かせない作業でした。

競合店を全部食べに行くって、地味にすごい準備だね。

「なんとなくいけそう」で決めた物件と、数字で納得してから決めた物件では、精神的な余裕がまるで違うよ。
物件選びについての詳細はこちらの記事も参考にしてください。
まとめ 立地選びは「感覚」ではなく「数字」で決める
飲食店が1年以内に約3割廃業する最大の原因のひとつは、立地選びの失敗に起因する慢性的な資金不足です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 家賃比率 | 売上の10%以内を目指す |
| 商圏分析 | 出店前にjSTAT MAP・乗降客数・競合調査を徹底する |
| 立地の選び方 | 駅前・ロードサイドは業態との相性で選ぶ |
| 現地調査 | 昼・夜・平日・休日の4パターンで必ず足を運ぶ |
| 競合把握 | 半径500m以内の競合を実際に利用して把握する |

夢のお店を、立地ミスで終わらせないために。物件契約にサインする前に、この記事の内容を一度チェックしてみてほしい。

立地は一度決めたら簡単には変えられないから、最初の判断が本当に大事なんだね。
夢の飲食店を長く続けるために、立地選びを最初の最重要課題として位置づけてください。
今日も同じ飲食の世界で、一緒にがんばりましょう。
・飲食店倒産件数データ:帝国データバンク「飲食店の倒産動向調査(2024年)」
・飲食店廃業率:飲食店の廃業率は?業態別データと失敗を避ける具体対策
・宿泊業・飲食サービス業廃業率:中小企業庁「2022年版小規模企業白書」
・商圏分析ツール:jSTAT MAP(政府統計の総合窓口)






