銀座300円ドリアの哲学 サイゼリヤが値上げしない本当の理由

サイゼリヤが値上げしない理由は、「できないから」ではなく「しない哲学があるから」

2026年4月22日、Bloombergが報じた。

銀座にあるサイゼリヤでも、ミラノ風ドリアは300円、グラスワインは100円。

インフレが続く日本で、値上げの波にあらがい続ける異色のチェーンです。

これは対岸の火事じゃなく、「値上げか、値上げしないか」という問いは、すべての飲食店経営者が直面する話です。

そしてサイゼリヤの選択には、独立を目指す人も現役経営者も、学ぶべき本質があります。

この記事を読んでわかること

・サイゼリヤがインフレ下で値上げしない本当の理由。
・39カ月連続2桁成長を支える「供給で戦う」ビジネスモデルの正体。
・国内利益率3.5%の苦しい現実と海外戦略。
・現場の飲食店経営者が「値上げ判断」で知っておくべきこと。

何が起きているのか?39カ月連続2桁成長の裏で利益予想を下方修正

複数のメディアと公式開示資料から確認できた事実を整理します。

複数ソースで確認できた事実(Bloomberg・Business Insider・ITmedia・各社開示資料)

・既存店売上高:3月まで39カ月連続で前年同月比2桁成長を達成
・看板メニュー「ミラノ風ドリア」は税込300円(銀座店も同一価格)
・2026年8月期の営業利益予想を190億円→182億円に下方修正(米など食材価格上昇が原因)
・下方修正翌日の株価は前日比14%安(約15年ぶりの下落率)
・国内事業の営業利益率は3.5%にとどまる
・直近四半期の営業利益の6割以上をアジアを中心とする海外が占める
・国内客単価は862円(4年前比で90円以上上昇)

はな
はな

お客さんは増えてるのに、利益予想を下げたの?

たかし
たかし

中東情勢の悪化でエネルギー価格が上がり、食材・物流コストがさらに上振れしそう。値上げしない選択の「リアルなコスト」がここに出てる。

なぜ値上げしないのか?創業者・正垣泰彦会長の哲学

サイゼリヤが価格維持にこだわる背景には、創業者で現在は会長の正垣泰彦氏(80)の経営哲学がある。

1973年の創業以来、「値上げは企業側の都合に過ぎず、顧客の利益にならない」という考えを貫いてきた。

正垣氏は自著でこう記している。「値上げをしてお客さまに負担を求める前に、私たちが改善できることは無限にある」

この哲学を支えるのが、徹底した「ムリ・ムダ・ムラ」の排除だ。

「ソースを袋から出す際に3%残るなら、どうすれば2%にできるか」そんな細部の積み重ねが億単位の利益につながると言う思いだそうです。

サイゼリヤが他社と根本的に違うところ

作新学院大学の中川仁美教授(会計学)は、サイゼリヤの戦略をこう分析すによると、「多くの飲食業が販売で戦うのに対し、同社は供給で戦っている」。

一般的な飲食チェーンサイゼリヤ
卸業者から食材を仕入れる国内外7つの自社工場で内製化
店舗で調理する工場で下処理済み・店舗に包丁なし
TV・SNS広告に費用をかける広告費ほぼゼロ
値上げで利益を確保する客数を増やして固定費率を下げる
販売で戦う供給(調達・製造)で戦う

ドリアに使うミートソースとホワイトソースはオーストラリア自社工場製。

レタスは自社栽培、オリーブオイルとワインはイタリアの生産者から直輸入。

卸業者を通さないことで、中間マージンをすべて価格に還元している。

はな
はな

でも、国内の利益率が3.5%って、かなり薄くない?

たかし
たかし

国内は海外(主に中国・アジア)の利益で支えている構造。値上げせず「もう1品」を頼んでもらう戦略をとってるんだね。

値上げの判断基準をどう持つか

サイゼリヤのモデルをそのまま個人店に当てはめることはできません。

自社工場を持てない中小飲食店には無理でも、この事例から学べる「考え方」は確かにあります。

値上げ前に考えるべき3つの問い

①本当にコスト削減の余地はゼロか?
正垣会長が言う「改善できることは無限にある」。発注ロス・廃棄・人件費の無駄は洗い出したか。
②値上げして客数が減るリスクと、値上げしないリスクを比較したか?
SMBC日興証券のアナリストは「10%以下の値上げなら客数への影響なく増益」と指摘している。10%の壁がどこにあるか、自店で検証したか。
③「もう1品」を頼んでもらう仕掛けはあるか?
サイゼリヤは価格を据え置きながら、利益率の高いデザートや追加メニューで客単価を上げている。値上げしなくても単価を上げる方法はある。

値上げが「正解」になるケースとは

Business Insiderの分析によれば、サイゼリヤの国内客数は前年比116.5%という異常値を記録している。

これだけの集客力があるからこそ、値上げせずに固定費率を下げて利益を出せる。

個人店・中小規模の飲食店は、サイゼリヤほど客数を積み上げられない。「薄利多売」で利益を出すモデルは、規模がなければ成立しにくい。値上げを「悪」と決めつけず、自店の数字を見て判断することが大切。

松谷社長は「売り上げを伸ばせる取り組みはまだまだある」と言う。

営業時間の延長、ピーク時の回転率向上、朝食メニューの充実、値上げより先にやることがある、という姿勢です。

そして、これは個人店でも同じ。

まとめ 「値上げしない」は哲学であり、構造でもある

この記事のポイント整理
ポイント内容
値上げしない理由創業者の哲学+「供給で戦う」ビジネスモデルで構造的に実現
客数の伸び39カ月連続2桁成長。他社の値上げで相対的お得感が増幅
国内利益率の現実3.5%。海外(アジア)の利益で補完する構造
客単価の伸ばし方価格据え置きのまま「もう1品」で単価を上げる
個人店への示唆値上げ前にコスト削減・回転率・追加注文の余地を検証する

サイゼリヤの選択は、すべての飲食店に当てはまるわけではなです。

ですが、「値上げするかどうか」を考える前に、自分の店の数字と向き合うこと。

この姿勢は、規模に関係なく経営者が持つべきもの。

正垣会長が言うには、「お客さまに経済的な余裕ができるまで、私は値上げに踏み切ることができない」信念がある、構造がある、だから成立する。

信念だけで経営はできないが、信念のない経営もまた長続きしないという教訓です。

今日も同じ飲食の世界でがんばっていきましょう!

タイトルとURLをコピーしました