
近所のケーキ屋が、気づいたら閉店していた。
そんな経験をした人が増えています。
じつは2025年度、洋菓子店の倒産は2年連続で過去最多を更新しました。
原材料の高騰とコンビニ・大手チェーンの攻勢で、街のケーキ屋が「板挟み」に追い込まれているからです。
私は19歳から飲食の世界に入り、居酒屋を独立開業して18年目の現役店主で洋菓子は専門外ですが、同じ地域商圏で消費者と向き合う立場として、この問題は他人事ではありません。
この記事では、洋菓子店がなぜ潰れるのか、その構造を最新データで読み解いていきます。
この記事を読むと、倒産が増える本当の理由と、それでも生き残る店の共通点がわかるはず。
結論は、大手と同じ土俵で戦わないこと。これが小さなケーキ屋の生き残る道です。

たしかに、昔からあったケーキ屋さんが減ってる気がする・・・。

数字がはっきり示していて、その中でも繁盛してる店は確かにあるんだよ。
- 洋菓子店の倒産が2年連続で過去最多になった最新データ
- 売上100万でも利益7千円という収益構造の正体
- コンビニと大手チェーンという2つの脅威
- 厳しい環境でも生き残るケーキ屋の共通点
洋菓子店の倒産が2年連続で過去最多になった現状
まずは数字で現実を確認しましょう。
街のケーキ屋を取り巻く状況は、想像以上に深刻です。
ケーキ屋の倒産65件という過去最多の衝撃
帝国データバンクの調査によると、2025年度に倒産した洋菓子店は65件。
前年度の51件から約3割増え、2年連続で過去最多を更新しました。
知名度の高い店も例外ではない。ショッピングセンターなどで7店舗を展開していたグランドルチェ(千葉)、著名なフランス菓子店として人気だった白鳥菓子工房(埼玉)も、原材料高などに耐えきれず事業継続を断念した(帝国データバンク・2026年5月発表)。
洋菓子店の利益率0.7%という収益構造
さらに衝撃的なのが利益の実態です。
物価が急上昇した2022年度以来の低水準です。
例えば、月の売上が100万円あっても、手元に残る利益は7,000円という計算。
最終損益では約3割超が赤字、減益を含む業績悪化は6割に迫りました。
| 指標(2025年度) | 数値 |
|---|---|
| 洋菓子店の倒産件数 | 65件(2年連続過去最多) |
| 前年度の倒産件数 | 51件 |
| 平均営業利益率 | 0.7% |
| 赤字店舗の割合 | 3割超 |
| 業績悪化店舗の割合 | 6割に迫る |
街のケーキ屋が倒産に追い込まれる3つの理由
なぜ、ここまで洋菓子店は苦しいのか。倒産の裏には、単なる物価高では説明しきれない構造的な原因があります。
原材料高騰でケーキの原価がすべて上がった
洋菓子の主原料は、小麦粉・バター・クリーム・鶏卵・砂糖・チョコレートです。
2020年以降、これらが一斉に値上がりしています。
帝国データバンクは、乳製品やカカオなどあらゆる原材料価格が記録的な高止まりを見せていると指摘。
包装資材・人件費・水道光熱費の上昇も重なり、収益力が急激に低下しています。
値上げできない「板挟み」という心理的ブロック
「コストが上がったなら値上げすればいい」。
そう思うかもしれませんが、それが難しいんです。
値上げすると、コンビニやチェーンに客を奪われる。
その恐怖から、コスト上昇分を価格に反映できない「板挟み」に陥っています。
商品を小ぶりにする「実質値上げ」で対応した結果、かえって顧客満足度が下がる悪循環に陥った店もありました。
コンビニスイーツの台頭で中価格帯を奪われた
街のケーキ屋にとって大きな脅威が、コンビニスイーツの品質向上です。
かつて安価で簡素なイメージだったコンビニスイーツは、今や専門店に匹敵する品質に。
各社が力を入れる400〜600円の中価格帯は、街のケーキ屋の売れ筋とちょうど重なります。
つまり、得意だった価格帯がまるごと侵食されつつあるのが現実です。

コンビニのスイーツ、最近すごくおいしいもんね。つい買っちゃう。

それが街のケーキ屋には一番こたえるんだよ。同じ値段で勝負したら、量で作れる方が強いからな。
大手チェーンの低価格攻勢とケーキ屋の競争環境
コンビニと並ぶもう一つの脅威が、大手洋菓子チェーンです。
その代表格を見ていきましょう。
シャトレーゼの垂直統合モデルという強さ
大手チェーンの代表が、シャトレーゼです。
2024年1月時点で国内外合計1,000店舗超を展開。
強さの本質は、農場・工場・店舗を一体管理する「ファームファクトリー」という垂直統合モデルにあります。
自社で原材料を調達し、大規模工場で生産し、直営店で売る。
この仕組みがあるから、原材料が高騰しても「おいしいものを、お値打ち価格で」を維持できるわけです。
個人のケーキ屋が同じ土俵で戦えない理由
この垂直統合モデルに、個人店が同じ土俵で挑んでも勝ち目はありません。
仕入れ規模も、生産設備も、価格を抑える体力もまるで違う。
価格競争に持ち込まれた時点で、個人のケーキ屋は不利な戦いを強いられます。
厳しい環境でも生き残るケーキ屋の共通点
ここまで暗い話が続きましたが、同じ環境でも繁盛している店は確かに存在します。
その違いはどこにあるのか。
値段が高くても、行列ができているケーキ屋は存在します。私の地元にも、1ホール3,000〜5,000円を予約制で売り、常に2週間待ちの人気店があります。商品が悪くて閉店する店は、実はそう多くない。「商品は悪くないのに知られていない」というケースが目立ちます。
SNSと予約制で「価値」を伝える店が勝つ
帝国データバンクも、生き残る人気店の特徴を指摘しています。
独自のブランド力と品質への支持を獲得し、値上げを「納得させる」ことで利益を維持。
InstagramなどSNSの活用や、完全予約制で廃棄ロスをなくす動きもみられます。
季節の素材にストーリーを持たせ、なぜこの価格なのかを丁寧に説明する。
品質と価格が納得できれば、消費者はお金を払います。
問題は品質ではなく「伝え方」にある
閉店していく店に共通するのは、商品力ではなく伝える力の不足です。
「なんとなくの価格設定で値上げに踏み切れない」「いい商品なのに知られていない」。
これはマーケティングの問題であることが多いと感じます。
コンビニやシャトレーゼに、同じ土俵で戦いにいく必要はありません。
その店にしかない体験・物語・品質という軸で勝負すれば、個人店にも必ず生き残る場所があります。

いいものを作るだけじゃ足りない。それをちゃんと伝えられて初めて、価格に見合う店になるんだよ。

おいしいだけじゃダメで、その魅力を届ける工夫が大事なんだね。
まとめ|洋菓子店が倒産時代を生き残る条件
洋菓子店が2年連続で過去最多倒産を更新した背景を、最後に整理しておきましょう。
原材料高、コンビニの中価格帯侵食、大手チェーンの低価格攻勢、そして値上げできない心理。
これらが重なり、利益率0.7%という水準まで落ち込みました。
洋菓子店の倒産は構造的な問題、それでも同じ環境で繁盛する店もある。違いは商品力とマーケティング力。大手と同じ土俵で戦わず、その店にしかない価値を正しく伝えることが生き残りの条件です。
| 消える店 | 生き残る店 |
|---|---|
| 価格で大手と競争する | 価格以外の価値で勝負する |
| なんとなくの価格設定 | 価格の理由を丁寧に説明する |
| いい商品だが知られていない | SNSでこだわりを発信する |
| 廃棄ロスに悩む | 予約制でロスをなくす |
コンビニが真似できない品質・物語・作り手の顔を持ち、それをSNSや予約で正しく届ける。
それができれば、高価格でも選ばれる存在になれます。
価格設定やSNS発信を見直したい人は、飲食店向けの価格戦略の本やSNS集客の入門書を一度手に取ってみるのもおすすめ。「価値の伝え方」が言葉にできると、値上げへの怖さがやわらぎます。

大手と同じ土俵で戦わない。小さい店にはそれができる強みがある。今日も同じ飲食の世界でがんばっていきましょう!


