
飲食業って、やっぱり体力がないと続けられないのかな。

確かに必要だけど「体力だけでなんとかする」という考え方を続けると、いずれ限界が来るよ。
飲食業は体力勝負と言われます。
毎日の激務に疲れを引きずったまま朝を迎える。
若い頃は「気合でなんとかなる」と思っていても、年齢を重ねるにつれて、体が悲鳴をあげる瞬間は確実にやってきます。
私は19歳から飲食の世界に入り、今年で18年目です。
この記事では、飲食業がなぜこれほど体力的にきついのか、年齢とともに何が変わるのか、そして長く続けるためにどんな選択肢があるのかを、データと現場経験の両面から整理します。
飲食業の離職率は全産業最高水準 なぜこれほど体力的にきついのか?

飲食って、そんなに辞める人が多いの?

数字で見ると、全産業の中でダントツで離職率が高いく、感覚じゃなくデータがあるんだ。
厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によると、宿泊業・飲食サービス業の年間離職率は26.6%で、全産業平均(15.0%)を大幅に上回り全産業で最高水準となっている。
約4人に1人が1年以内に職場を離れている計算です。
| 区分 | 離職率 |
|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 26.6%(全産業最高) |
| 全産業平均 | 15.0% |
| 新卒3年以内離職率(大卒) | 56.6% |
| 新卒3年以内離職率(高卒) | 65.1% |
| 有給取得日数(飲食業) | 5.9日(全産業平均10.9日) |
出典:厚生労働省「令和5年雇用動向調査」「令和4年3月卒業者の離職状況」「令和5年就労条件総合調査」
これほど離職率が高い理由は、給与水準の低さだけではなく、体力的な消耗が積み重なって、限界を超えてしまうのが根本的な原因です。
1日10時間以上の立ち仕事が体に与えるダメージ 慢性疲労の現実

一番の原因は、やっぱり立ちっぱなしの仕事だよね。

ピークタイムの運動量はハンパじゃない。朝の仕込みから深夜の片付けまで、倒れ込むように帰宅する日が続いたよ。
開店のセッティング、仕込みから営業、片付けまで座る時間がほとんどなく、1日10時間以上立ちっぱなしということも珍しくない。
年齢を重ねるごとに、膝の痛み、腰のだるさ、疲労が抜けない感覚が慢性化していく。
これらの動作が積み重なることで、慢性的な腰痛や膝痛を抱える人は飲食業に多い。
20代の先輩がヘルニアで手術した話は、現場ではまったく珍しくないです。
さらに、「座って一息つく」という時間が取りにくいため、休憩時間もまともに取れないことが多い。
こうした状態が日常的に続くと、疲労がどんどん積み重なって体調に支障が出ることにつながります。
飲食業の納品作業が引き起こす肩こり・関節痛

若い時は運動代わりになるけど、年を重ねるとつらくなるよね。

納品が多い時は、それだけで時間も体力も持っていかれるよ。
毎日のように届く重い荷物を運ぶ作業も、飲食業のきつさを語る上で外せないことです。
・ビール樽 20kg以上。
・米、業務用調味料 合わせて10kg超。
・鮮魚の発泡スチロール 10kg以上。
週末・連休ともなれば食材がまとめて届き、納品するだけで同じ場所を何往復もします。
こうした場面は現場では日常茶飯事で、慢性的な肩こりや関節痛の原因に。
特に注意が必要なのが、繰り返し起きる次のような行動です。
・忙しい時間帯に慌ててビール樽を持ち上げる。
・食材を抱えたまま狭い通路をすり抜ける。
・高い棚に重い鍋をしまう。
持病を抱えると、この先何十年も付き合わなければなりません。
体力的な辛さが「もう続けるのは無理」と感じるきっかけになるのは、多くの場合こういう積み重ねからだです。
夏は灼熱・冬は凍える 飲食業の厨房環境が体力を削り続ける理由

夏の厨房って、想像するだけで倒れそう。

サウナより過酷な状態で何時間も動き続けるし、冬はホールや入口付近は別の意味で辛い。
ガスコンロ・フライヤー・オーブンがフル稼働する厨房は、夏場はサウナより過酷な状態。
汗は滝のように流れ、制服はすぐびっしょり。
エアコンを効かせても、火の前に立つスタッフには意味がないです。
冬場はホールや入口付近が別の辛さ。
外気が直接入る立地では、ドアが開くたびに冷気が流れ込み足元から冷えてくる。
厨房も、仕込み中や火を使わない時間は急激に室温が下がり、汗をかいた後に体が冷えて体調を崩すケースは珍しくないです。
真冬の水道水の冷たさで手の感覚がなくなる、というのも飲食あるある話だ。
夏の暑さ・冬の寒さが、体力消耗をさらに加速させる。
飲食業の有給取得は全産業最下位5.9日 休めない現場の実態とその影響

忙しい日は、ゆっくり休む暇もないよね。

「休憩=仕事の延長」になっているのが飲食の現状だよ。
飲食業で働く人が口を揃えて言うのが、休憩を取りにくいという現実です。
表向きには休憩時間があっても、買い出しを頼まれたり、納品チェックや発注を指示されたりして、実際には働き続けているケースが多い。
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」によると、全産業の有給平均取得日数が10.9日であるのに対し、宿泊業・飲食サービス業は5.9日と全産業で最も少ない。
休憩が取れないことで起きる問題は明確です。
・疲労が取れず、翌日以降も疲れが残る。
・集中力が落ちてミスが増える。
・食事をきちんと取れず、体調を崩しやすい。
自分自身も、休憩時間にまかないを3分で胃に流し込んですぐ仕事に戻る日々を過ごしました。
「休憩した気がしない」という感覚は、多くの飲食スタッフが共感するはずです。
30代・40代で感じ始める体力の衰え 飲食業における年齢別の現実
20代との違いは「回復力」30代から始まる飲食業の疲労蓄積パターン

20代の頃は、どんなに疲れても一晩寝れば回復するけど、いつまでも続かないよ。
年齢を重ねれば体力は衰えます。
20代の頃にバリバリ働いていた人でも、30代・40代となると同じにはいきません。
一晩寝ても前日の疲れが抜けず、疲労感が残ったまま仕事をするので集中力も散漫になる。
この「回復力の低下」が、飲食現場において最も大きな変化です。
同時に、体力的なことを考えて今後のキャリアが不安になる時期でもあります。
働き方そのものを見直すきっかけになるのが、多くの場合この30代・40代という時期です。
繁忙期に飲食スタッフが体調を崩しやすい理由

必ずクリスマスの時に体調崩す先輩いたよね。

飲食業の繁忙期は、世間の休暇と完全に重なるから売上が上がるほど現場は過酷になるんだ。
年末年始・GW・クリスマス。
飲食店の稼ぎ時はスタッフにとって疲労がたまりやすいシーズンと完全に一致します。
・通常よりも仕込み量が増える。
・混雑する時間帯が集中する。
・休みが取りにくくなる。
売上増加に反して、現場スタッフには過酷な労働環境が重なる。
繁忙期を乗り越えた直後に体調を崩す人が多いのは、ピーク時の緊張が解けた瞬間に免疫が落ちることがあると思います。
一人にのしかかる業務量が体力を限界まで追い込む

繁忙期に限って急にスタッフが辞めたりするよね?

日頃からの過酷労働のしわ寄せが、限界に達したタイミングにもなるんだ。
帝国データバンクの調査(2024年)によると、飲食店の約64%が非正社員(アルバイト・パート)の不足を訴えている。
本来2〜3人で回すべき仕事量を一人でこなしたり、社員が店長一人でバイトのシフトが組めなかったりという状況が、現場では日常化しています。
閑散期は問題なく回っていても、繁忙期になると人手不足の深刻さが一気に表面化し、こうした状況が続けば、体力的な負担は何倍にも膨れ上がります。
飲食店経営では、繁忙期を見据えた人員体制を閑散期から整えられているかが生存を左右します。
飲食業を辞めずに長く続けるための5つの選択肢

体力的に限界を感じたら、もう辞めるしかないのかな。

「辞める」以外の選択肢を知っておくことが大事だよ。働き方を見直すタイミングだと受け取るべき。
業態を変えるだけで体への負担は激変する
体力的に負担が少ない別店舗・業態に移るのも一つの有効な方法。
・カフェやベーカリー:深夜営業がなく生活リズムが整いやすい。
・セントラルキッチン:現場の激務から離れ、製造中心の環境で体の負担が軽減される。
・大手チェーン店:マニュアル化・分業化が進んでいて一人への負荷が分散される。
・ホテルや社員食堂:決まった時間帯での営業が多く、不規則なシフトが少ない。
今までと違う環境に躊躇する人もいると思いますが、やってみると「こっちのほうが自分に合っている」と感じるケースは多いです。
同じ飲食業でも、業態が変わるだけで毎日の体力消耗は別物です。
現場作業から教育・マネジメント職へ

自分でやった方が早いって思って、ついなんでも抱え込んじゃう。

任せることをしなければ、永遠に同じ仕事量をこなし続けるだけだよ。
今いるポジションの仕事を後輩に継承していくことも、立派な仕事です。
すべてを自分でやっていると店は回らないし、後輩も育たない。
教育・マネジメント職へのシフトは、体力的な限界が近づいてきた人が飲食業を続けるための現実的な選択肢のひとつです。
飲食業内での転職が最もリスクが低い理由

転職するとしたら、どこに移るのが現実的なのかな?

まず同じ業界内で無理のない業態に移ることから考えるのが一番現実的だよ。
| 業態 | 体力負担の特徴 |
|---|---|
| ファストフード・チェーン店 | マニュアル化で一人の負担が分散。人員配置も多め |
| ホテル・企業の社員食堂 | 深夜営業が少なく、定時での業務が多い |
| カフェ・ベーカリー | 深夜営業なし。生活リズムが整いやすく時間に追われにくい |
これまでの経験を活かしながら、自分に合ったペースで働ける環境に移れば、「体力的に無理だ」と感じていた仕事もまだ続けられる可能性がある。
独立すれば体力の使い方を自分で設計できる

独立って、リスクが大きそうで怖いイメージ。

独立の一番のメリットは、体力の使い方を自分で設計できること。僕自身がそれを実感しているよ。
営業時間、定休日、席数、メニュー数、予約制の有無、仕込みの外注可否。
これらを自分で決められるだけで、毎日の負担は目に見えて変わる。
・夜遅くまでの営業はせず、昼営業中心にする。
・メニュー数を絞って仕込みや調理の手間を減らす。
・席数を少なくして余裕ある営業をする。
リスクはある。
でも、いずれ自分の店を出したいと考えている人には挑戦を勧めます。
現場を18年経験した中で感じるのは、独立後のほうが体力的に長く続けられるという現実。
誰かに決められた働き方ではなく、自分で設計した働き方こそが、飲食業を本当の意味で長く続けるための答えだと思っています。
まとめ 体力的限界を「辞める理由」ではなく「働き方を変えるタイミング」にする

自分の未来のために動き出すなら、今がベストタイミングだね。

今日が人生で一番若い日だよ。
飲食業は確かに体力的に厳しい仕事です。
離職率は全産業最高水準の26.6%。新卒で入った人の半数以上が3年以内に離れる業界。
それでも、働き方を見直せば長く続けられる道は必ずあります。
働き方を見直す5つの選択肢
① 業態を変えて深夜営業のないチェーン店・カフェ・社員食堂に移る。
② 現場から教育・マネジメント職にシフトする。
③ 同業態内の別店舗・別業種へ転職して負担を減らす。
④ 独立して、営業時間や働き方を自分で設計する。
⑤ 繁忙期を見据えた人員体制を閑散期から整える(経営者向け)。
こうした選択肢を知っておけば、体力的に追い込まれたときでも「辞める」以外の道が見えてくる。
体力の限界を感じたとき、それは「辞めるサイン」ではなく「働き方を変えるタイミング」。
私は今日も、みなさんと同じ飲食の世界で働いています。
この記事を読んだ方が納得できる職場で長く安心して働けるようになってくれたら、それが一番嬉しいです。





