
「飲食、もう辞めたいな」。
そう思ったこと、ありませんか。
じつは、その気持ちはあなただけのものではありません。
なぜなら飲食業界は、数字で見ても「辞める人がずば抜けて多い業界」だからです。
私は19歳で飲食の世界に入り、居酒屋を独立開業して18年目になる現役の店主です。
スタッフに辞められる側の苦しさも、自分自身が「もう限界かもしれない」と思った夜のことも、両方知っています。
この記事では、飲食店を辞めたくなる7つの理由を、最新の公的データと現場の本音で正直にお話しします。
読み終えたとき、「辞めたい」という気持ちが甘えなんかではないこと、そして自分が今どうすべきかが、きっと見えてくるはずです。
結論を先に言います。辞めたい理由の多くは、あなた個人の問題ではなく業界の構造的な問題です。
・飲食店を辞めたくなる7つのリアルな理由を最新データで確認。
・飲食の離職率・年収・人手不足の実態。
・競合記事では語られない経営者側の本音。
・辞めるべき人・続けるべき人の見分け方。

わたし「辞めたい」って思っちゃう自分が弱いのかなって、ずっと感じてて……。

それは違うんだよ、数字を見れば一発でわかる。飲食を辞めたくなるのは、ほとんどが業界の作りの問題なんだ。今日はそれを正直に話すよ。
飲食の離職率データで見る「辞めたい」が当然の理由
まずは感情の前に、事実から確認していきます。
飲食業がどれだけ「辞められやすい業界」なのか、公的な統計が物語っています。
飲食の離職率は全産業トップクラスという現実
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、宿泊業・飲食サービス業の年間離職率は18.1%でした。
これは全産業平均をはっきり上回り、業界別でも常に上位に並ぶ水準です。
さらに深刻なのが、新しく入ってきた若手の離職率です。
令和4年3月卒業者を追った同省の調査では、就職後3年以内に辞める割合が高卒で64.7%、大卒で55.4%。
どちらも全産業の中で最も高い数字でした。
つまり、新しく飲食に入った2人に1人以上が、3年以内に業界を飛び出していく計算になります。
宿泊・飲食サービス業の年間離職率18.1%(全産業平均を上回る水準)
新卒3年以内離職率は高卒64.7%・大卒55.4%でいずれも産業別ワースト
出典:厚生労働省「令和6年雇用動向調査」「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
飲食の人手不足と倒産が招く二重苦
働く人が減れば、残った人の負担は増えます。
2025年8月時点の有効求人倍率を見ると、飲食物調理従事者が2.37倍、接客・給仕職業従事者が2.42倍。
全産業平均の1.18倍のおよそ2倍という、深刻な人材の取り合いが続いています。
そして経営側も苦しい。
帝国データバンクによれば、2025年上半期の飲食店倒産は458件で上半期として過去最多を更新しました。

働く人も減って、お店もつぶれて……みんなが苦しいって感じがして、なんだか切ないね。

そうなんだ。だからこそ、辞めたい本人を責めても何も解決しない。次は、その「辞めたい理由」を一個ずつ見ていこう。
飲食店を辞めたい理由|給与・労働時間・休みのきつさ

ここからは具体的な理由に入ります。
まずは多くの人が最初に挙げる、お金・時間・休みの3つです。
辞めたい理由①給与が労働に見合わない
飲食店正社員の平均年収は、求人データの平均で見ると300万円台が中心です。
国税庁の令和5年民間給与実態統計調査による全体平均は約460万円台ですから、100万円以上の差があるのが現実です。
しかも「まかない込みだから安くて当然」という慣習も根強く残っています。
働いた時間に対して報われていない。その実感が、人を辞める方向へ押していきます。

食材費も光熱費も家賃も上がる中で、人件費だけ増やすのは本当に難しい。でも優秀なやつに辞められるのが一番怖いから、できる限りの手は考え続けてるよ。
辞めたい理由②労働時間が長く飲食がきつい
ランチとディナーの2部構成の店では、仕込みから片付けまで含めて1日12〜14時間拘束も珍しくありません。
営業時間外の清掃・発注・棚卸し・翌日の仕込み。
これらが「当然の業務」として、労働時間にカウントされないケースもあります。
体力のある20代は乗り切れても、積み重なれば必ずどこかで限界がきます。

俺も厨房に立ち続けてた頃は、帰宅が深夜0時過ぎなんて当たり前だった。「好きでやってるから」で乗り越えてたけど、体が悲鳴を上げたのは3年目だ。「好き」と「続けられる」は、まったく別の話なんだよ。
辞めたい理由③休みが取れず生活リズムが狂う
飲食業は、世間が休む日ほど稼ぎ時です。
土日祝、ゴールデンウィーク、年末年始。
みんなが休む日に、自分は働く。
友人の結婚式に出られない、家族旅行が組めない、子どもの行事に行けない。
こうした生活のすれ違いは、離職理由の上位に挙がり続けています。

大切な日にいつも働いてるって、お金以上にしんどいことなのかもしれないね。

お正月に家族で集まる習慣は、店を持ってから10年途絶えたよ。仕方ないとわかってても、元日に「みんなはゆっくりしてるんだろうな」と思いながら仕込みする時間は、じわじわ心を削るんだ。
飲食店を辞めたい理由|体力・人手不足・人間関係・将来
残る4つの理由は、より根の深いものです。
体や心、そして将来への不安に関わってきます。
辞めたい理由④飲食の立ち仕事で体力的な限界がくる
飲食は典型的な立ち仕事です。
1日の歩数が1万歩を超えることも珍しくなく、食材の搬入や高温の厨房での長時間作業も重なります。
20代は体力で乗り切れたことが、30代40代になると慢性的な腰痛や膝痛として現れてきます。
体が続かないから辞める。これは最も正直な離職理由のひとつです。
辞めたい理由⑤飲食の人手不足で負担が集中する
先ほどの求人倍率が示すとおり、飲食は慢性的な人手不足です。
人がいないから1人あたりの業務量が増える。
疲弊して辞める人が出る。
さらに人が減る。
この負のスパイラルが、業界全体を蝕んでいます。

求人を出しても応募が来ない時期が続いてな。自分が現場に入り続けた結果、経営の時間が取れず売上まで落ちた。「人を採れない、現場が回らない、改善の余裕もない」は、中小店主が一番ハマりやすい罠だよ。
辞めたい理由⑥人間関係のストレスと⑦将来への不安

狭い厨房やホールで、立場の違う人間が長時間ともに働く。
この環境は、どうしても人間関係のトラブルを生みやすいものです。
「背中を見て覚えろ」という上意下達の文化が残る職場では、それがパワハラに近い形で黙認されることもあります。
そして7つ目が、将来への不安です。
倒産が過去最多を更新する中で、「料理スキルは磨けても他業界での市場価値が見えない」「昇給の上限が低い」というキャリアの閉塞感を抱える人は少なくありません。

「腕が良い」だけじゃ店は続かない。経営、集客、採用、育成……現場以外のことが山ほど必要なんだ。でも雇われてるうちは学ぶ機会がほとんどないんだ。
飲食を辞めるべき人・続けるべき人と転職という選択肢
辞めたい気持ちが高まったとき、一度だけ立ち止まってほしいのです。
辞めるべきか続けるべきかは、感情ではなく自分の状態で判断しましょう。
飲食を続けることを考えていい人
・料理やおもてなしが純粋に好きで、数字抜きで楽しいと感じる瞬間がある。
・問題が「業界全体」ではなく「この店特有」のもの(転職で解決する可能性がある)。
・独立という明確な目標があり、今の現場が修行になっている。
・スキルアップの手応えがあり、3年後の成長が見えている。
飲食を辞めることを真剣に考えるべき人
一方で、次のサインが出ているなら、立ち止まる勇気も必要です。
・睡眠障害・食欲不振・無気力など、心や体のSOSが出ている。
・何年たっても年収が上がらず、将来のビジョンが描けない。
・「好き」ではなく「惰性」や「他に行けない恐怖」で続けている。

辞めるのも続けるのも、ちゃんと自分の状態を見て決めていいんだね。少し気持ちが軽くなった気がして。
もし「飲食は好きだけど、今の店だけが辛い」という人は、辞める前に環境を変える選択肢もあります。
飲食専門の転職サービスなら、労働時間や休日の条件を事前に確認したうえで、自分に合う職場を探せます。同じ飲食でも、店が変わるだけで働き方は大きく変わります。
まとめ|飲食店を辞めたい理由は甘えでなく構造問題
この記事で取り上げた7つの理由を整理します。
辞めたい理由は、嫌いになったからではなく業界の構造から生まれています。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 宿泊・飲食業の年間離職率 | 18.1% | 厚労省 令和6年雇用動向調査 |
| 大卒3年以内離職率 | 55.4% | 厚労省 令和4年3月卒業者 |
| 高卒3年以内離職率 | 64.7% | 厚労省 令和4年3月卒業者 |
| 調理従事者の有効求人倍率 | 2.37倍(全体1.18倍) | 厚労省 2025年8月 |
| 接客・給仕の有効求人倍率 | 2.42倍 | 厚労省 2025年8月 |
| 2025年上半期 飲食店倒産 | 458件(上半期過去最多) | 帝国データバンク |
低い給与、長い労働時間、取れない休み、体力の限界、人手不足、人間関係、将来への不安。
どれも「飲食が嫌いになった」からではなく、業界の構造的な問題から生まれています。
辞めたいと感じることは、あなたの甘えでも根性不足でもありません。
一方で、人の笑顔を直接もらえる仕事、技術が身につく達成感といった魅力は、他の業界では替えのきかないものです。

辞めるか続けるか、感情じゃなくて自分の状態で決める。今日の話、ちゃんと胸に留めておくね。

今日も同じ飲食の世界で、がんばっていきましょう!


