

最近、近所の中華屋さんが急に閉まってたんだけど…。

それ、今の飲食業界が抱える問題がそのまま出てる話だよ。
街中華がブームなのに、街中華が閉店している。
値上げしたのに、客が減っている。
飲食業界は今、「矛盾した現象」が同時多発的に起きています。
私は19歳から飲食の世界に入り、現在は居酒屋を開業して18年目になります。
30年ぶりとも言われる大きな構造変化のど真ん中で、今まさに現場でその波を受けています。
この記事では、2025〜2026年に飲食業界で何が起きているのかを整理し、生き残るための具体的な対策を現場目線で解説します。
・なぜ今、飲食店が次々と閉店しているのか
・値上げ疲れ・外食離れの正体と背景
・消える店と残る店の決定的な違い
・今すぐできる生き残りのための具体的な対策
現状を正確に把握して、今日から動けることを一つでも見つけてください。
30年間、値上げしてこなかった飲食業界の歪み

日本の飲食業界はバブル崩壊以降の約30年間、「値上げ=客離れ」という固定観念の中で生き続けてきました。
デフレ経済の中で「安くてうまい」が正義となり、値上げをした店は「高くなった」と口コミされ、客が減る。
そのトラウマが業界全体に染みついていたのです。

それがコロナでガラッと変わったってこと?

コロナだけじゃなく、複数の問題が同時にぶつかってきたんだよ。
コロナ禍・ロシアウクライナ戦争・円安・エネルギー高騰が重なり、飲食業界がかつて経験したことのない「多重コスト圧迫」が一気に起きました。
・食材費(F)の高騰
・人件費(L)の上昇(最低賃金の引き上げ)
・光熱費の急騰
・家賃(R)の高止まり
F・L・R、すべてのコストが同時に上がるのは、業界30年の歴史でも初めてのことです。
コロナが生んだもう一つの傷──人手不足と信頼喪失
コロナ禍では多くの飲食店が正社員は守ったものの、アルバイトを実質的に切り捨てました。
その結果、コロナが明けて人手が必要になっても、スタッフが戻ってこない。
「また切られるかもしれない」という不信感が、慢性的な人手不足を生んでいます。

うちは最小限のスタッフ運営だったからしのげたけど、規模の大きい店では今でも苦戦してるんだ。

一年中「バイト募集」の張り紙が出てる店、確かに多いよね。
コスト増加と人手不足が同時進行する中、「値上げをしなければ経営が成り立たない」という状況に業界全体が追い込まれる最悪の環境になりました。
値上げのノウハウが積み上がった時代──大手が試した手法

追い詰められた大手チェーンを中心に、様々な「値上げの技術」が生み出されてきました。
試行錯誤の結果、見えてきたセオリーがあります。
一律値上げは最も危険な手段
全メニューを一斉に値上げするのは、客離れを最も起こしやすい方法です。

「また値上がりしてる!」って感じると、なんか損した気分になるよね。

そのマイナス感情が翌月以降の来店回数を確実に減らすんだよ。
値上げには「タイムラグ」があります。値上げした翌月はそれほど客数が落ちなくても、2〜3ヵ月後じわじわと客数が減り始める。
気づいた頃には手遅れ、というパターンが多いです。
大手が実践した「賢い値上げ」の手法
大手チェーンが試行錯誤の末に導き出した方法が、以下の手法です。個人店でも十分に応用できます。
| 手法 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 高付加価値の新商品投入 | 原価率が低い高単価メニューを新設 | 原価ミックスが改善し全体の原価率が下がる |
| ステルス値上げ | ポーション見直し・無償サービスの廃止 | 価格据え置きのまま実質的に利益率を改善 |
| 季節・イベントメニュー | 期間限定商品を投入 | グランドメニューの原価を調整しつつ話題性も得る |
| メニュー整理 | 出数の少ない品を削除 | オペレーションが簡素化し人件費・ロスが減る |
サイゼリヤに学ぶ「値上げしない値上げ」
この時期に最も参考になる事例がサイゼリヤです。
サイゼリヤはコロナ後も「値上げをしない」と宣言し続けました。
その結果、一時は国内事業が赤字に転落しました。
しかし値上げ以外の手段で利益を回復させた点が卓越しています。
・セルフレジ・タブレットオーダー導入でホール人件費を削減
・全商品を50円単位に統一し釣り銭問題とレジ時間を解消
・おかわりパン・スープなど無償サービスを廃止
・メニュー数を絞り込み厨房オペレーションを効率化

値段を上げずに利益を回復させた、教科書にしたい事例だよ。

個人店でも「削れるサービス」ってあるよね。
個人店も同じ発想で考えられます。
これまでは無料で提供していた「お茶」は廃止して、ソフトドリンクをオーダーしてもらうようにしたり、来店された方は1ドリンク&1フード以上の注文をお願いしました。
「削れるコスト」「無くても困らないサービス」を見直すことが、今すぐできる最初の一手です。
2025〜2026年:値上げ疲れと外食離れの正体

大手が値上げのノウハウを積み上げてきた頃から、今度は別の問題が顕在化してきました。
消費者の「値上げ疲れ」です。
客単価は上がっているのに、客数が落ちている
2025〜2026年の飲食業界の決算を見ると、一見すると業績が良さそうに見える企業が多くあります
なぜなら客単価が上昇しているため、売上高の数字自体は伸びているからです。
しかし数字の内側を見ると、客数は100%を割り込んでいるケースが続出しています。

お客さんが減ってるのに、業績がよく見えるってどういうこと?

客が5人から4人に減っても、一人当たりの単価が上がれば売上は変わらないからね。
客単価の上昇で売上が維持できているうちは表面上は問題ありませんが、客数の減少は悪循環の始まりです。
来店頻度が下がると常連客が薄まり、口コミが減り、新規客も来なくなる。
この流れに入ると、立て直しは非常に困難になります。
実質賃金が上がらない消費者は「外食を我慢」している
値上げ疲れの根本には、実質賃金の伸び悩みがあります。
名目賃金は多少上がっても、食料品・光熱費・住居費が軒並み値上がりした結果、「手元に残るお金」は増えていない、という人が大半です。
「ランチ1,200円か…。コンビニで済ませるか。」
「居酒屋行くより、スーパーで買って家飲みにしよう。」
こうした判断が日常的になることで、外食の来店頻度が確実に落ちています。
大手チェーンがアプリクーポンや来店ポイントを乱発しているのは、まさにこの来店頻度の低下を食い止めるためです。
街中華ブームなのに街中華が閉店する矛盾
2025〜2026年の飲食業界を象徴する現象が、「街中華ブームと街中華の閉店ラッシュの同時進行」です。

ブームなのに閉店って、おかしくない?

「安いから人気」と「儲からないから閉める」が同時に起きてるんだよ。
街中華の強みは「割安・ボリューム感・通いやすさ」です。
しかしその「安さ」こそが経営を圧迫する原因になっています。
高齢の経営者が多い街中華では、「値上げしたら客が逃げる」「かといって今さら上げ方がわからない」という板挟み。
「働いても儲からないなら辞める」という廃業判断に至るケースが相次いでいます。
ブームに乗った需要があるのに、供給側が消えていくというのが今の街中華の実態です。
消える店と残る店──決定的な4つの違い

現場で18年、厳しい局面をいくつも乗り越えてきた経験から言うと、閉店していく店にはいくつかの共通点があります。
消える店の特徴
| 特徴 | 具体的な状況 |
|---|---|
| 高齢の家族経営店 | 後継者がおらず、体力・気力の限界で廃業を選ぶ |
| 値上げ知識が一律しかない | 一律値上げ→客離れ→売上減→さらに値上げの悪循環に陥る |
| コロナ融資の返済が重い | 2024〜2026年が返済ピーク。キャッシュが底をつく |
| 中間価格帯で差別化できていない | 安くも高くもない「なんとなくの店」は最も危険 |
特に注意が必要なのが「中間価格帯」のポジションです。
安さで勝負するには大手には敵わない。
高価格帯で勝負するには個性・技術が必要。
どちらにも振り切れていない「ジェネラルチェーン系」の業態が最も競争が激しく、差別化が難しいのが現状です。

「なんとなく飲みに行く場所」は、外食を我慢する時に真っ先に切られるからね。
残る店の特徴
一方、厳しい環境の中でも生き残る店には、明確な方向性があります。生き残る方向性は大きく2つに分かれます。
① 割安業態へ振り切る
低価格帯に参入し、量と回転で勝負する。大手ですら街中華風・ラーメン500円台ブランドを投入中。個人で入れるなら今がチャンス。
② 高付加価値・高単価に振り切る
職人技・個性・体験価値で「この店でしか食べられない」を作る。客数は少なくても一人当たりの単価と満足度で収益を確保する。

どっちも「中途半端じゃない」っていうのが共通してるね。
「なんとなく真ん中」の店が最も危険です。
今の自分の店がどちらのポジションに近いか、改めて確認してみてください。
今すぐできる生き残りのための対策5選

状況を理解するだけでは何も変わりません。
今の現場でできることに落とし込みます。
プライスゾーンを明確に設計する
自分の店が「誰向けの、いくら帯の店なのか」を明確にすることが最初の一歩です。
客単価・ターゲット層・業態コンセプトを言語化して、メニューと価格の構成を見直す。
中途半端な価格帯から「安い」か「高い」かに振り切ることで、来てほしいお客様が明確になります。

うちは「地元の常連さんが気軽に飲める4,000円台居酒屋」と決めて全部ここに合わせてるよ。
メニュー構成・内装の雰囲気・接客トーン・SNSの発信内容、すべてをプライスゾーンから逆算して設計することで、来てほしいお客様が自然と集まってきます。
「誰でも来ていい店」は、結果として「誰にも刺さらない店」になります。
高付加価値の新商品を継続投入する
値上げをするより先に、「原価率が低く、単価が高い商品」を新たに作る方が客離れなく収益を改善できます。
季節メニュー・産地直送の特別食材・シェフのおすすめ品など、定番メニューとは別の軸で「特別感」を演出するメニューを定期的に投入しましょう。
原価率の低い新商品が出数を伸ばすと、グランドメニュー全体の原価率が自然と下がります。
これが「原価ミックスの改善」です。
リピーター施策に力を入れる
新規客を集めるコストは、既存客に再来店してもらうコストの5倍かかると言われています。
大手チェーンが今、アプリ・クーポン・ポイントカードを乱発しているのは、来店頻度を守るためです。
個人店では大規模なシステムは不要ですが、できる範囲でのリピーター施策は今すぐ始めるべきです。
・スタンプカードやライン公式アカウントの活用
・常連客の名前と好みを覚えて一言添える
・誕生日月のサービスを設ける
・「来週のおすすめ」をSNSで発信して来店動機を作る

個人店の最大の強みは「顔の見える関係」だからね。
大手がアプリや会員システムで行っていることを、個人店は「人間力」で代替できます。
名前を覚えてもらえた、好みを把握してもらえた、という体験は、どんなクーポンよりも強い来店動機になります。
お客様との関係を「お客様と店」ではなく「人と人」にしていく意識が、リピーターを生む最大の源泉です。
他店の成功・失敗事例を研究して取り入れる
餃子の王将・スカイラーク・マクドナルド・ガストなど、大手チェーンが打った施策を定期的にチェックしましょう。
大手は莫大なデータと費用をかけて実験し、失敗した施策は撤退しています。
その「実験結果」を無料で参考にできるのが個人店の強みです。

大手に食べに行くのも、仕事のうちってことだね。
自店への取り入れ方は、そのままコピーするのではなく、「発想だけ借りて自分の業態に翻訳する」のがポイントです。
食品消費税の動向を注視する
今後の経営を大きく左右しうる問題として、食品消費税の見直し議論があります。
現在、スーパーなどで購入する食品(中食)は8%、外食は10%の消費税がかかっています。
政策によっては中食が0%になる可能性もあり、その場合は外食との価格差がさらに広がります。
もしそうなれば、外食離れはさらに加速する可能性があります。
「家で食べた方が安い」という選択肢がより強くなるからです。
今のうちから「外食でしか得られない価値」を強化しておくことが、将来のリスクヘッジになります。

「この店の雰囲気と会話があるから来る」って思ってもらえる店を作るのが一番の対策だよ。
まとめ
飲食業界は今、かつて経験したことのない構造変化の中にいます。
・30年のデフレ思考が崩れ、コスト構造が根本から変わった。
・値上げのノウハウが積み上がった一方、消費者は値上げ疲れを起こしている。
・客単価は上がっているが、客数は減少している。
・「中途半端な中間価格帯」が最も危険なポジションになっている。
・生き残るのは「割安か高付加価値か」どちらかに振り切った店。
厳しい時代に見えますが、逆に言えば「やるべきことが明確な時代」でもあります。
大手が試した手法の結果は見えています。
消費者の行動も変化の方向が読めています。あとは「自分の店に当てはめて動くだけ」です。

知っているのと、動いているのは全然違うんだよね。

考え続けながら動く。それだけで生き残れる確率はぐっと上がるよ。
トライ&エラーを怖がらず、今日から一つでも動いてみてください。
同じ飲食の世界で、一緒に乗り越えていきましょう!

