
「食品の消費税がゼロになるなら、飲食店も恩恵を受けるんじゃないの?」
単純に考えればそういった考えになるかもしれません。
実はこれ、飲食店にとってむしろ逆風どころか、最悪の場合は経営危機を招くかも知れません。
2026年、政府が検討している「食料品消費税ゼロ」。
スーパーの食材やテイクアウトの食品は8%→0%になる一方、
店内飲食(外食)は10%のまま据え置きという構図になっています。
この制度変更、飲食店経営者はただ「へ〜そうなんだ」で済ませてはいけません。
知らなかったでは済まされないリスクが3つあります。

食品が安くなるなら、飲食店も仕入れが安くなっていいんじゃないの?

それが落とし穴なんだよ。仕入れが安くなるどころか、税負担が増えるリスクがあって、気づいたときには手遅れになるよ。
私は19歳から飲食業に入り、現在は15坪・25席の居酒屋を独立開業して18年目になります。
SNSで流れてくるような予約の取れない大繁盛店ではないですが、いま現在も安定した経営ができています。
長くこの業界に関わってきた経験から、この問題の本質をできるだけわかりやすく解説していきます。
- 食品消費税0%が飲食店に与える3つの具体的なリスク。
- なぜ仕入れが安くなっても税負担が増えるのか。
- 今すぐできる対策と経営の考え方。
外食離れがさらに加速する

現在でも「外食はちょっと高い」というイメージがあるのに、もし食品が0%になれば、スーパーの惣菜や弁当との価格差は2%から一気に10%に広がります。
現在と今後で食品の消費税はこうなっています。
| 区分 | 現行税率 | 食品消費税0%後 |
|---|---|---|
| スーパー・コンビニの食材 | 8%(軽減税率) | 0% |
| テイクアウト・デリバリー | 8%(軽減税率) | 0% |
| 店内飲食(外食) | 10% | 10%のまま |

2%の差ならまだ「まあいいか」ってなるけど、10%の差ってなると正直けっこう意識するよね。

1,000円のランチが「消費税の分だけで100円高い」という感覚になってくる。これが毎日の積み重ねになれば客足は確実に変わってくるよ。
たとえばお店でランチ1,100円(税込)を食べるとして、コンビニでそれ以上の弁当が1,000円以下で買えてしまったら、財布の感覚的にはどちらに足が向くか。
外食離れが今以上に加速するのは、残念ながら避けられないシナリオとして経営者は頭に入れておく必要があります。

特にランチや日常使いのお客さんへの影響が大きそうだね。

毎日来てくれてた常連さんが週3回から週1回になる、その積み重ねが売上に直結するんだよ。だからこそ今のうちに手を打つことが大事なんだ。
私の店でも、コロナ禍をきっかけにランチ需要の客層がガクッと落ちた経験があります。
あの時は「テイクアウトやデリバリーの普及」が原因でしたが、今回の消費税の変化はそれ以上のインパクトになる可能性があります。
コロナ前と比べ、外食産業全体の売上は完全に回復していない業態も多く、そこにさらなる価格差が加わるのは深刻な話です。
客単価を上げるため「値上げすればいい」と思う人もいるかもしれませんが、今の飲食業界では値上げは客離れの引き金になりやすい。
原材料費の高騰で多くの店がすでに値上げをしています。
そこにさらに消費税の価格差が加われば「外食は贅沢」という感覚が加速し、日常使いの客層が離れるリスクは非常に高いです。
だからこそ価格以外の「ここに来る理由」を今のうちから作っておくことが、この制度変更への最大の備えになります。
- 外食(店内飲食)の税率は10%のまま。食品との差が2%→10%に拡大する。
- 「割高感」が客の判断に影響し、外食を避けてスーパー・コンビニへ流れるリスクがある。
- 特に「ランチ需要」「日常使いの客層」への影響が大きい。
仕入税額控除が消えて、納税額が逆に増える

「食材の仕入れが安くなるなら、うちはむしろ助かるんじゃないの?」
これ、めちゃくちゃ落とし穴です。
消費税の仕組みをシンプルに説明すると、飲食店は「受け取った消費税(売上分)-支払った消費税(仕入分)=納税額」という計算をしています。

つまり、仕入れで払った消費税は引いてもらえるってこと?

これが「仕入税額控除」っていう仕組で、これが食品が0%になると仕入れで払う消費税もゼロなので控除できる金額もゼロ。結果的に納税額が増えるんだよ。
| 項目 | 現行(食品8%) | 食品消費税0%後 |
|---|---|---|
| 売上の消費税(外食10%) | 100円受け取り | 100円受け取り |
| 仕入れの消費税 | 8円支払い(控除できる) | 0円(控除できない) |
| 納税額 | 92円 | 100円(増える) |

え、仕入れが安くなっても、税金が増えるってどういうこと?

仕入れの消費税がゼロになる=控除できる金額もゼロになるってことだね。
不安なのは、取引業さんもこのタイミングで消費税分のか価格転嫁して事実上の値上げをするケースです。
仕入れ価格は変わらないのに控除できる金額が無い。
薄利多売の飲食業界で仕入税額控除がなくなるのは、じわじわと利益を削る深刻なダメージです。
売上規模が大きいほど、その影響は大きくなります。

これは絶対に税理士さんに相談しておいた方がいいよね。

原則課税と簡易課税、どちらが有利かは店の規模や売上によって変わってくる。制度が動き出す前に一度シミュレーションしておくことをすすめるよ。
- 食品が0%になると仕入れで払う消費税もゼロになり、仕入税額控除が消える。
- 売上の消費税(10%)はそのまま納付→結果的に納税額が増える「逆転現象」が起きる。
- 売上規模が大きいほどダメージも大きくなる。早めに税理士へ相談する。
中食・コンビニとの競争が激化する

外食離れの流れと並行して起きるのが、中食・デリバリー市場のさらなる拡大です。
スーパーのお惣菜、コンビニの弁当、デリバリーのテイクアウト料理、これらは今後すべて消費税0%になるかもしれない。
一方で、店内飲食は10%のまま。

コロナ以降、すでに中食に流れてるお客さんって戻りきってないよね。

その流れがさらに強まる可能性がある。特に深刻なのが、もともと外食と中食の間で揺れているファミリー層やランチ需要のお客さんなんだよ。
こうした客層がスーパーやコンビニの「0%弁当・惣菜」に流れることで、来客数が減り、固定費はそのまま→売上だけ落ちるという危険なサイクルに入る可能性があります。
| シーン | 変化 |
|---|---|
| ランチ需要 | コンビニ・スーパー弁当との価格差が開く |
| 家族の夕食 | スーパー惣菜の割安感が増し、外食が減る |
| 日常の一人飲食 | 中食・デリバリーへの流れがさらに加速する |

じゃあ飲食店は打つ手なしってこと?

そんなことはないよ。コンビニやスーパーには絶対に真似できないものがある。雰囲気、接客、盛り付け、会話、「ここに来る理由」を持っている店は生き残れるんだよ。
価格で戦おうとしたら負けるけど、価値で戦えば個人店には絶対に強みがある。
また、自店のテイクアウトメニューを整備することも有効な対策のひとつです。
テイクアウトは0%になるため、店内飲食との差を埋めながら中食需要も取り込める一石二鳥の戦略になります。
- 食品0%により、中食・コンビニとの価格差が拡大。来客数が減るリスクがある。
- ランチ・ファミリー層など「価格感度が高い客層」への影響が特に大きい。
- 自店のテイクアウトメニューを充実させることが一つの対抗策になる。
まとめ:制度変更を「他人ごと」にしてはいけない

食品消費税0%というニュースを「自分には関係ない話」として流していると、気づいたときには手遅れになるかもしれません。
飲食業の本質的な魅力、雰囲気、接客、盛り付け、会話は、コンビニやスーパーには絶対に真似できないものです。
制度がどう変わろうと、「ここに来る理由」を持っている店は生き残れます。

政治の話だし、まだ決まってもないから様子見でいいんじゃない?

気持ちはわかるけど、制度が変わってから急に動き出す人が多いんだよ。準備していた人と、慌てた人とでは大差がつく。今できることを一つずつやっておくことが大事なんだ。
| 対策 | 具体的な行動 |
|---|---|
| 税負担のシミュレーション | 原則課税・簡易課税どちらが有利か税理士に試算してもらう |
| テイクアウトの強化 | 自店のテイクアウトメニューを整備して中食需要も取り込む |
| 付加価値の見直し | 「外食でしか得られない体験」を磨き、価格差を納得させる |
| リピーター戦略 | 常連客を増やして、価格以外の理由で来てもらえる店を作る |
| 数字の把握 | 今の原価率・FL比率・損益分岐点を正確に把握しておく |
大切なのは、変化から目を背けず、今できることを一つずつやり続けることです。

昨日より今日、今日より明日だよね。

未来は『ある日突然』じゃなく、『いま自分の意志』で変わるんだよ。
これから一歩踏み出そうとするあなたに、心からエールを送ります。
今日も同じ飲食の世界で、一緒にがんばりましょう!
このブログでは引き続き、飲食店経営に役立つ情報を発信していきます。

