
19歳から飲食業界で働いてきて「もう辞めたい」と悩むスタッフを何人も見てきました。
正直、自分も何度も同じ気持ちになったし、実際に店を辞めいくつも働く場所を変えてきました。
まず伝えたいのは
「今の店を辞めることは悪いことじゃない」ってことです。
もちろん踏ん張り続けて、その先にやりがい、達成感を見つけられたらすごく素敵なことです。
でも、無理して限界を超えてまで今の環境にしがみつく必要はないんじゃないかな、とも思うんです。
飲食の世界に限らず、すべての業種に言える事ですが、働く場所はいくらでもあります。
だから「ここでダメなら終わりだ」なんて思わなくていいんです。
自分もいろんな立場や環境で悩み苦しんできたので、同じように悩み苦しんでる人に向けて、少しでも寄り添えたらいいなと思っています。

石の上にも三年なんて言葉があるけど、そんな言葉に縛られることはないよ
自分に合う環境を見つけることの方が、ずっと大切で価値のあることだから。

そんなこと言ってる大将も昔はいろんな店で大変な思いしてきたみたい。
だから、今まさに悩んでる人の気持ちがわかるんだよね。
【この記事はこんな人におすすめ】
- 今の職場を辞めようと悩んでいる人。
- 働き方に疑問を抱いている人。
- 将来が不安な人。
飲食業を「辞めたい」と感じる原因7つの理由
あなたが「辞めたい」と思う、感じる理由はなんですか?
理由がわかれば対処法も見つかるかもしれません。
実際に、飲食店で「辞めたい」と感じる理由にはどんなものがあるのでしょう?。
代表的なものを7つにまとめてみました。
飲食業の長時間労働がきついと感じるときの対処法
技術を習得するため、お金のため、憧れて、特に理由はないけど他にやる事がないから。
理由はそれぞれでも、大切な人生の限られた時間の大半を費やすわけですから、よりよい環境で働きたいものです。
営業前の準備、実際の営業、片付け、発注まで含めると、気がつけば店に12時間以上いるなんてことも日常な世界です。
「今日も一日中立ちっぱなし」「休憩はまかないをかき込む10分だけ」
という日が続けば、体力だけでなく心までじわじわ削られていきます。

「飲食なんてこういうもの」と思って働いていた時期もあったけど、気がついたら休みは年に数日、疲れをリセットする時間がまったく取れなくなってたな。

「やりがい搾取」みたいな文化があって、無理を続けると身体も精神も壊れちゃうよ。
寝ても疲れが取れない。休んでも気持ちが晴れない。
そんな状態が長く続くと、「なんのために働いているんだろう?」と感じるのは自然なことです。
もちろん、お店によって働き方は違いますし、体力で乗り切れる人もいるでしょう。
もし今、同じように「毎日長時間働いていて、寝ても休まらない」と感じているなら、それは自分が弱いからではなく、環境の問題かもしれません。
慢性的なに人員不足の店舗に多い問題です。
オーナーや責任者の改善が見られない場合、永久的に同じことを繰り返す場合がほとんどです。
可能ならば、シフトやポジションを変更してもらう事が先決です。
それが無理な環境なら、職場事態を変える選択肢も視野に入れて考えて下さい。
飲食業で体力的に限界を感じる原因と回復のヒント
飲食の仕事は立ちっぱなしで動き回ることが多く、体への負担が大きい仕事です。
重い食材を運んだり、熱い厨房で汗をかき続けたり、夜遅くまで神経を張り詰めて接客をしたり…。
毎日全力を出し切るような働き方をしていると、ある時から「まったく疲れが取れない」と感じる事があります。
前触れなく、ある時を境に別人になったように体が重くなる感覚すらあります。
年齢を重ねると、以前は平気だったことがだんだん堪えるようになってくるのと同時に、気持ちもついてこなくなります。
「以前は翌日に残らなかった疲れが抜けない」「腰や膝の痛みが抜けない」など、体のサインを無視し続けると危険です。

「若いころは技術はないけど体力がある。年を重ねると技術はあるけど体力がない」
新人だった頃、先輩に言われた言葉が今ではすごく身に染みるよ。
体力の問題は気合や根性では解決できず、誰にでも訪れるもの。
「若いんだからもっと頑張れよ!」なんて事を言われても、どうにもならない事だってあります。
人はそれぞれ、体格も、体力も違うんですから。
だからこそ「体が限界だと感じたら、それは休むべきサイン」だと受け止めることが大切です。

体の不調は「弱さ」じゃなくて「サイン」だから、気づいたら素直に受け止めること。
無理に走り続ける事より、休むことの方が大切な時期もあるよ。
違和感や不調を感じたら、勤務の仕方や生活リズムを見直すことも必要ですし、場合によっては環境そのものを変える選択が心身を守ることにつながります。
無理を重ねて壊れてしまう前に「立ち止まる勇気」を持つこと。
これからも働き続けるためには「がんばり過ぎない」ことは大事なことです。
飲食業の人間関係がつらい時の対処法と考え方
飲食店は少人数で動くことが多く、人間関係の距離が近い分だけストレスも大きくなります。
上司や店長との考え方の違いに悩んだり、後輩やアルバイトとの温度差にイライラしたり、ピークタイムのピリピリした空気の中で衝突することもあります。
厄介なのは「同僚と比べられる」「自ら比べてしまう」ことです。

若い頃、同期の中でも覚えが悪くて、みんなが次々と新しい仕事、ポジションを任せられてる姿を、雑用しながら後輩と一緒に見てた時はつらかったな。
「○○はもっと早い」「△△はもっと売上を取っている」なんて光景を目の当たりにすると、自分の努力が認められていないように感じ、存在価値がないんじゃないか?とマイナス思考になってしまいます。
更によくある事で、ある先輩には「こうしてくれ」と言われたのに、別の先輩には「それは違う」と叱られる。
どっちを信じたらいいのか迷って、気づけば気持ちばかりがモヤモヤする。
そんな経験、ありませんか?。

自分の立場やプライドを守るため、後輩たちの成長を邪魔して
わざと意地悪な事をしてくる人っているんだよね。
人間関係のストレスは仕事のやりがいを一瞬で奪い、「もうこの店では続けられない」と思わせる大きな理由のひとつです。
大事なことは、全員と完璧にうまくやろうとしないことです。
割り切って「仕事上の関係」と線引きをしたり、自分に合う人や頼れる人と距離を近く保つだけでも心は楽になります。
これは変に「相手との距離をとれ」と言っているではなく、深く感情移入する必要はないという事です。
人間関係を変えることは難しくても、自分の受け止め方を変えることで負担を軽くすることができる場合もあります。
給料が低い・待遇に不満があるときの解決方法
飲食業界で働く人の多くが感じているのは「給料の低さ」や「待遇への不満」です。
長時間働いても給与が他の業界に比べて高いとは言えず、残業代が曖昧な店も珍しくありません。
例えば「月に250時間以上働いても手取りは20万円前後」「店長に昇格しても責任ばかり増えて給料はほとんど変わらない」などよく聞く話です。
私も初めて料理長になった時は嬉しくて、やる気に満ち溢れていました。
それが数か月も経つと、責任と重圧に押しつぶされ、その日を乗り切るだけで精一杯になっていました。
身を粉にして働いているのに、本社が決める点数方式で給料は逆に減ってしまい、一般社員の方が給料が高いなんて事もありました。

早朝から夜中まで全力で働いて、時給計算にしたらバイトの給料の半分。
あの時の絶望感は忘れなれないな・・・。
生活費や家族を支えるには十分ではなく、「この先ずっと続けられるのか」と不安になりました。
ただ、ここで考えたいのは「待遇の悪さをすべて自分の努力不足だと思わないこと」です。
飲食業は構造的に人件費が抑えられやすい業界であり、個人の頑張りだけで状況を変えるのは難しい場合も多いのです。
近年は最低賃金の引き上げなどもあって少しは改善されてきてはいるものの、現状は大企業や一繁盛している一部の店舗に限った話です。
とはいえ受け止め方を変えることで心が少し楽になることもあります。
例えば「今の経験を将来の独立やキャリアアップにつなげる期間」と割り切る人もいれば、「待遇の良い企業系の飲食店に移る」という選択をする人もいます。

どれだけ身を削って働いても、それが正当に評価されないのはあなたのせいじゃないよ。
自分の価値を信じて、逃げではなく未来のために別の環境を選んでもいい。
大切なのは「どこまでなら受け入れられるか」「どのタイミングで環境を変えるか」を自分で判断することです。
待遇を変えるのは簡単ではありませんが、不満を放置したまま無理を重ねるよりも、早めに向き合って行動した方が未来は確実に楽になります。
飲食業の将来が見えないときに考えるキャリアプラン

同じことを繰り返す日々に不安を感じるのは自然なことだよ。
その不安を無視しないで、「自分が今やりたいこと」を見つめ直すチャンスだよ。
飲食店で働いていると「このまま続けていて自分はどうなるんだろう」と感じる瞬間があります。
キャリアアップの道筋が不透明で、頑張っても昇給や昇格の基準が見えにくい職場も少なくありません。
例えば店長になっても給与がほとんど変わらなかったり、独立を考えても資金や人脈のの問題、未来を描きにくい状況に直面することは多いものです。
季節の変化やイベントなどで多少の違いはあっても、飲食の仕事は基本的に同じことの繰り返しです。
ホール担当ならセッティングをしてお客様を迎え入れ、オーダーを取って料理を運ぶ。
調理担当なら食材の仕込みから調理、そして片付けや清掃へ。毎日同じ流れをこなしているうちに「このままでいいのだろうか」と惰性を感じ、不安に襲われることもあります。
やりがいや楽しさを見いだせていれば充実しますが、繰り返しの毎日に将来が見えなくなる瞬間は誰にでも訪れるものです。
「この先10年も今と同じ働き方をしているのだろうか」「年齢を重ねても体力的に続けられるのか」といった不安は、飲食業に携わる人なら誰でも一度は抱える悩みです。

自分は職場で一通りの事を学んで、納得できるようになったら
新しい店に移って環境を変える働き方をしてきたよ。
キャリアに不安を感じること自体は悪いことではなく、自分の働き方や生き方を見直すきっかけにもなります。
将来が見えないと感じたときこそ「自分が本当にやりたいことは何か」「飲食業の中でどんな形なら続けられるか」を考えるチャンスなのかもしれません。
家族やプライベートと両立するための工夫

年末年始も営業している店の時は、一年の区切りがないから
いったい今は何月?って思ったりもしたね。

家族や大切な時間を犠牲にしてしまうのは、本当に辛いこと。
自分なりの工夫で“特別な時間”を作ることで、心のバランスをとってあげよう。
飲食店は夜や休日が稼ぎ時なので、どうしても一般的な生活リズムとずれてしまいます。
家族や友人が休んでいる土日や祝日は仕事、クリスマスやお盆、年末年始も繁忙期でなかなか一緒に過ごせません。
子どもの学校行事や家族の誕生日に参加できず、気がつけば大切な時間を犠牲にしてきたと感じる人もいるでしょう。
プライベートの予定を優先できない生活が続くと、心のバランスが崩れやすくなり「自分は何のために働いているのだろう」と思ってしまうのも自然なことです。
ただ、これは飲食業に限らずサービス業全般に言えることであり、誰かが休んでいるときに価値を提供する職業だからこその宿命ともいえます。
その代わりに、平日の休みを活かして普段は混んでいる場所をゆったり楽しんだり、人が少ない時間に出かけて息抜きしたりと、普通の働き方では味わえない過ごし方ができます。
工夫を取り入れることで、少しでもプライベートとのバランスを取り戻すことです。
それが無理なら、根本的に環境を変えてみる事も考えて下さい。
クレーム対応に疲れた心を守る方法
飲食のやりがいのひとつは、お客様から直接「美味しかった」「ありがとう」と言ってもらえることです。
ただその一方で、理不尽なクレームや無理な要求、酔客の対応などに心をすり減らすこともあります。

「お客様は神様だろ!」なんて言ってくる人も未だにいるからね。
相手が悪くても、店側の立場でいると強く出れないもどかしさもあってストレスなんだよ。
どんなに丁寧に接しても不機嫌な態度を取られたり、こちらの努力をまったく理解してもらえなかったりすると、「自分の仕事は何なんだろう」と気持ちが折れてしまいます。
昔ながらの「おれは客だぞ!文句あるのか!」なんて言ってくる人も残念ながらまだ存在します。
接客に疲れることは誰にでもあり、決して自分だけの責任ではありません。
むしろ、それだけ真剣にお客様と向き合っている証拠とも言えます。
大切なのは「すべてのお客様に完璧に応えようとしないこと」

理不尽な対応で心が折れそうになんて当たり前。
大事なのは「向き合い過ぎない」ってこと。全部を正面から受け止める必要なんてないよ!
お客様の中にはどうしても合わない人もいると割り切り、自分を守る意識を持つことが必要です。
そして、心が折れそうなときは「感謝の言葉をかけてくれたお客様」のことを思い出してほしいです。
飲食の仕事は決して楽ではないけれど、その分やりがいも確かに存在します。
「辞めたい」と感じる気持ちを否定せず受け止めつつ、同時に「続けたい」と思える瞬間があることも忘れないでいてほしいのです。
飲食業を辞めたいとき、どうする?3つの対処法
先ほどまで紹介した7つの理由に当てはまる方が、次にとる行動(対処法)が次の3つです。
- 成長して現状を乗り切る。
- 距離を置いて、お休みする。
- 働く環境を変える。
一つずつ解説していきます。
成長して現状を乗り切る。
新人時代は「飲食の楽しさ」に気づく余裕がないほど、大変ですよね。
ドラマで観た思い描いていた華やかなイメージとは違って、「こんなはずじゃなかった」と感じることもあるかもしれません。
けれども、続けているうちに少しずつ「飲食の仕事の楽しさ」に出会える瞬間があります。
これは私自身が飲食の現場に長く携わってきたからこそ言えることですが、少しずつ経験を積み重ねていくことで、新人時代に見ていた景色と今見えている景色はまったく違ってきます。
数えきれないほどの失敗をし、何度も先輩や仲間に叱られたり助けられたりしながら、ようやく越えられた壁がいくつもありました。

このブログでは、そんな私が体験して学んできたことや、支えられてきた経験を、今現在悩んでいる後輩や同じ飲食業界で働く人たちに少しでも伝えたいという思いで書いています。
根本にあるのは、あの日この飲食の世界で「なにかを成し遂げたい!」なんて小さくても、大きくても、夢や目標があったはずです。
距離を置いて、お休みする。(休職・退職をする)
ここでは、成長して乗り越えることも困難で解決できない場合に「思い切って休む(休職・退職する)」という選択肢もある、ということをお伝えします。
飲食業は心身への負担が大きい仕事だからこそ、体や心に限界のサインが出ることがあります。
- 食欲がなくなる
- 疲れているのに眠れない
- 休んでも疲れが抜けない
- 無気力で身の回りのことが手につかない
- 気分が落ち込み、涙が出てしまう
- 感情の起伏が激しくなる
- 「自分なんて必要ない」と感じてしまう

私も以前、この状態になった事があるけど本当にきつかった。
厄介なのは本人が気づくのって、かなり後になってからなんだよ。
立場のある役職について、現場ではスタッフを教育しながら会社が求める結果を数字として出さなければいけない。
そのプレッシャーに圧し潰されて、本来の実力もだせないまま、誰にも相談できず体調を壊してしまいました。

同じように体調を崩して退職していって同僚が何人もいたみたい。
職場環境に原因があると本人の意思ではどうにもならないもんね。
こうした状態が続くのは、とても危険です。
無理をすればするほど、取り返しのつかないほど心身を壊してしまう可能性もあります。
強制的にでも、今の職場から距離を置いて休暇をとるべきです。
そんな事できない!と思う方もいると思います。
責任感のある素晴らしい人だと思いますが、あなたが壊れてしまったら元も子もないです。
それに、組織と言うのは自分が居なくなっても、案外うまく回り続けるものです。
安心して休んでください。
働く環境を変える。

最初に言ったけど、「今の店を辞めることは悪いことじゃない」
自分を追い込み過ぎたって得する事なんて何もないよ。

大将はフランス料理のお店を出したくて料理の世界に入ったって言ってたけど
いろいろ経験して今に至るんだよね。
最後に「働く環境を変える」=転職についてお話します。
もう一度原点を振り返ってみましょう。
『どうして私は飲食の仕事をしたかったのか?』
『将来、どんな飲食人になりたいのか?』
この答えから、今の職場がそれを実現できる環境かどうかを考えてみましょう。
今の店に「目指したい先輩や店長」がいますか?。

『〇〇さんみたいに、数年後には店を任されるようになりたい!』
と思えるなら続ける価値はあるよ。
でも『何年働いても、そうなれる未来が見えない…』と思うなら、転職して自分の目指す姿に近づける環境に変化するタイミングかも知れません。

いま働いているお店の業態、規模、時間帯とは違った職種を見てみるのもおすすめ。
チェーン店や大規模店舗では「回転率」が最優先になり、一人ひとりのお客様と丁寧に関わる事が少なくなります。
ですが、「接客に疲れて少し距離をおきたい」と感じている人には、適しているかも知れません。
正社員だけにこだわらず「パート勤務」「時短勤務」「ランチ営業だけの店」など働き方を見直すのも一つの手です。
そもそも『飲食業自体がもう嫌だ!』という気持ちなら、思い切って違う業界に挑戦するのも一つの道です。

調理や接客で培った経験は、サービス業や営業職など他の仕事でも活かせるし
選択肢は思っている以上にたくさんあるよ。
最後に伝えたいこと
飲食業にも「辞めたい」と思う理由はいくつもあります。
そして、その理由によってとるべき行動は変わってきます。
店の規模、人数、年齢、価格帯、業態、労働時間・・・。
一つとして同じ状況がないものですけど、考え方はとてもシンプルです。
今いる環境で、成長を目標にするの事もいいですし、思い切って環境を変え、心機一転で再スタートするもよしです。
そして、飲食の仕事を辞めたり、少し休んだっていいんです。
あなたには、自分で選択する自由があります。

変えられるのは『自分』と『これからの未来』だけ。
よく言うけど『今日が人生で一番若い日』だよ!

焦らないで、慌てないで、きっと大丈夫だよ!
「飲食の仕事、もう辞めたいな…」って思った時は、またこの記事の事を思い出してみてください。
ほんの少しで読者の方の心の支えになったら嬉しいです。
今現在、私も同じ飲食の世界で楽しい事も、苦しい事とも付き合って日々営業しています。
自分の人生は一回きり。
休むことも、働くことと同じくらい、いやそれ以上に大切ですよ。