離婚の申し出。「そんなつもりなかった」だと?

「……離婚したいと思ってる」

その言葉を出した瞬間、相手は一瞬きょとんとして、
次に、少しだけ眉を寄せて、
「え? そんなつもりなかった」と言った。

——驚いたのは、私の方だった。

もうとっくに、終わっていたと思ってた。
少なくとも、私の中ではもう“夫婦”じゃなかった。


家庭内別居3年、家を出てから10年。
会話なんて無し、同じ家にいても生活は交差しなかった。
笑い合った日も、同じ食卓を囲んだ記憶もない。

下の子が高校を卒業する時を期日にした。
義務とか責任とか、そういうのじゃない。
ただ、まだ“あの家”に子どもがいるうちは、離婚をするのは違うと思った。


離婚の申し出に対して返ってきたのは、
驚きと、困惑と、そして“予想外だった”という温度感だった。

「そんなつもりなかった」って、
……じゃあ、10年もこの状態で何を思ってたの?
まさか、ここからやり直せると思ってたの?

一方的に終わらせたかったわけじゃない。
でも、これ以上“夫婦のふり”を続けるのは無理だった。


生活費についての話もした。
子どもが全員就職するまで、一人につき月9万円ずつ送ること。
財産分与は、お互いに現状維持で請求しないこと。
借金がある場合は相手に負担させないこと。

現状、私には多額の借金があったのでこれは自身で解決するつもりだ。

せめてもの誠意だった。
でも、口約束だった。
それが後になって大問題になる。


約束の期日が来た際、「言った」「言ってない」の水掛け論が始まった。
書面にしていなかったことを悔やんだ。
でも、当時はそんなことより“早く終わらせたい”という気持ちの方が強かった。

いま思えば、離婚の意思を伝えたあの日が、
“はじまり”ではなく、“第2の迷路の入口”だったのかもしれない。


反撃のたぬき語録

終わらせたいのに、終わらせてくれないこともある。
書類1枚がこんなにも分厚いなんてね。

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